海外暮らしの方はご自身の日本の年金について意識する機会がどうしても少なくなりがちで、「気がついたら年金をもらい忘れていた!」ということが時々起こります。
年金の「時効」に関する正しいルール
よく「年金は、5年放置すると時効になって、もう一切申請できなくなる」と勘違いされている方がいますが、これは間違いです。
- 権利そのものは消滅しない:5年を過ぎても申請自体は可能です。
- 受け取れる範囲:申請した時点から「過去5年分の年金」と「これからの年金」はしっかり受け取れます。
- 消滅する分:時効で永遠にもらえなくなるのは、「5年よりさらに前の古い年金」だけです。
なぜ「2カ月分」まとめて消えてしまうのか?
年金の権利は1カ月単位で計算されるのに、時効になるときはなぜか2カ月分セットで消滅します。これには「支払日」が関係します。
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 計算単位 | 1カ月単位 |
| 時効の起算点 | 「本来の支払日」から5年 |
| 実際の支払日 | 偶数月の15日(前月・前々月の2カ月分を合算) |
例えば、4月分と5月分の年金は、どちらも「6月15日」が支払日です。
そのため、5年後の6月15日を迎えた瞬間、この2カ月分の年金が同じタイミングで時効を迎え、消滅してしまいます。請求が遅れると、数十万円単位の損失が出るリスクがあるため、早めの手続きが肝心です。
70歳以降の請求:「一括受給」vs「繰下げ増額」
65歳を過ぎ、例えば「71歳」で請求を行う場合、以下の2つの選択肢から選ぶことになります。
選択肢A:将来の受給額を最大化する(繰下げ受給)
過去の分は一括でもらわず、待機した期間分、これからの受給額を増やす方法です。
- 増額率:71歳からの申し出で50.4%増(例:100万円 → 150万円以上)
- 注意点:過去(65歳〜71歳)の年金は一切もらえません。
選択肢B:過去の分を一括でもらう(特例的な繰下げみなし増額)
令和5年4月からの新制度。5年前(66歳)の時点で繰下げたと「みなして」計算します。
- 一括受給:「8.4%増額された年金」の過去5年分をドカンと受け取れます。
- 将来の受給額:今後もずっと8.4%増の年金が受け取れます。
- 注意点:5年以上前の分(65〜66歳の1年分など)は時効で消滅します。
一括受給に潜む「税金」の落とし穴
選択肢B(一括受給)は魅力的ですが、注意点もあります。
まとまった5年分の年金が振り込まれると、「過去5年間にさかのぼって所得が増えた」とみなされます。日本国内に住民票がある、あるいは医療・介護保険に加入している場合、後から保険料や税金の追加請求が来るリスクがあります。
海外居住者の場合は、租税条約による免税手続き等で状況は異なりますが、大きなお金が動く際は税務上の影響を慎重に見極める必要があります。
せっかく積み立ててきた大切な年金、1円も無駄にしないよう、ライフプランに合わせた最適な受給タイミングを見極めてくださいね。

コメント